恐竜時代の海洋を支配したのは大型海生爬虫類。
中生代の通して長く繁栄した海生爬虫類の代表格とも
いえる「首長竜」
海の適応にもっとも追求した結果、イルカやマグロのような体型に
なった爬虫類「魚竜」。
そして
魚竜と入れ替わり現れた新参者。海トカゲの「モササウルス類」
そんな彼らの食生活を支えたのは、
もっぱらイカの仲間であろう。
中生代の海には現在のイカとは親戚関係にある
ベレムナイトが大繁栄していたのだ。
↑ベレムナイト(胴体にあたる外套膜の先端に剣のような殻が内臓。その化石は矢石と呼ばれる)
ベレムナイトの腕には吸盤ではなく、かぎ爪が連なり、
魚竜ステノプテリギウス
の化石には実にベレムナイト1500匹相当する
かぎ爪が含まれていたというから、海生爬虫類にとって
彼らの存在は大いなる恵みであったにちがいない!
そして
現在においてもイカはクジラやアザラシなどの海生哺乳類や
マグロ、カツオなどの大型魚類の格好のエサ資源である。
このように太古から
海の食物連鎖の上位に立つ者に食べられ続けた歴史をもつのだ!
もちろん彼らはただ食べられるだけでなく
天敵から逃れる術も持ちえている。ご存知のように
スミを吐いて敵を目をあざむき危機から逃れるというもの。
ちなみに
タコのスミは煙幕のように広がり、敵の視界を塞いで
その間にそそくさと逃げる雲隠れの術ようなものだが、
イカのスミは粘り気が強く、スミは塊となって吐き出される。
天敵にそのスミの塊を囮(おとり)として目を逸らせ、
その間にそそくさ逃げる分身の術といったところだ!
イカの仲間にはダイオウイカ
やダイオウホウズキイカ
のように
食べられまいと体を巨大化し、さらに強食者のいない深海に生きるという
徹底振りなヤツもいるが、
それでも、わざわざ過酷な深海まで潜り、ダイオウイカを捕食しに
来るマッコウクジラ
なんてヤツがいる。
いつまでも、どこまでもイカの仲間は食べられる奴らなのだ!
さて、ダイオウイカやダイオウホウズキイカの巨大イカは
かなり巨大な目をもっている。大きいものでは直径27cm
というバレーボールサイズにもなり、生物界では史上最大級の巨大な眼だ!
しかし光の届かない暗闇の深海で大きく目玉が発達しても
捕らえる光がないものだから、視覚的に有利になることはないという。
それではこの巨大眼は何の役に立つのか。
これだけ巨大な眼を持つのだから、
かすかな光も逃さない集光能力があるわけだが、
マッコウクジラが移動するとき、その周りにいる
小さな発光生物が押しのけられ、かすかな光跡が残る。
ダイオウイカはわずかな光跡を自慢の巨大眼でキャッチし、
天敵のマッコウクジラの存在を知り、そそくさと危機から
逃れることができるといわれている。