地上のいたるところに生息する昆虫。
地球上でもっとも多様性が高く、その種数は80万種も知られいる。
これは生物種の半分以上を占める割合だ!
そんな昆虫の特徴は実に明快だ!
体は頭部、胸部、腹部に分かれ、
胸部に3対(6本)の脚が生えている節足動物である。
■昆虫の起源■
さて、そんな昆虫の特徴を踏まえ、
昆虫がどのような節足動物から派生し、誕生したのか・・・。
ムカデやヤスデなどの多足類の先祖が陸上に進出し、その一部が昆虫になったとも
いわれているが、
最近ではこれに反し、遺伝子解析でエビやカニなどの甲殻類から派生した「ムカデエビ」が
系統的に近い関係にあるという。
しかし、
はっきりしたことがわからず、まだまだ議論の余地はあるようだ。
化石からも昆虫の祖先と思しきものが発見されている。
カルバリア 学名(Kalbarria brimmellae )
シルル紀後期に生息し、もっとも最初に陸上に進出した動物である。
その体は頭部、胸部、腹部に分かれ、胸部のみに脚が生えているところまでは
昆虫と同じ特徴といえるが、
胸部の脚は11対(22本)と昆虫よりかなり多かった。
おそらく、昆虫より多い分の脚を消失させて、昆虫になったのでは
ないかといわれている。
デボノヘキサポドゥス 学名(Devonohexapodus bocksbergensis)
デボン紀前期、およそ4億年前の海に生息した節足動物。
その姿はムカデエビに似ているが、
胸部と腹部に分かれ、
胸部の3対の脚が大きく発達して腹部の脚と明らかに違うことが分かる。
発達した胸部の3対の脚を残し、腹部の脚を消失させて昆虫になったという
ことだろう。
しかし、
カルバリアの場合は胸部の脚を3対を残して消失させ、昆虫になった
デボノヘキサポドゥスは胸部の3対の脚を発達させて、昆虫になったという
違いがあり、
いずれにしても昆虫起源の解明は一筋縄でいかないようだ。
■昆虫を繁栄させたもの■
一般的に「虫」とよばれる生き物に翅が生え、
空を飛ぶものは昆虫だけである!
昆虫を生物種の半数を占めるまで繁栄させたのは、この翅があったからに
ほかならないだろう。
生物史上初めて、空を飛んだ生き物が昆虫だ。
化石記録から翅をもった昆虫が現れたのは石炭紀だ。
この頃は植物の背丈も30m、いや40mと異様に高くなり、大森林が広がった時代だ。
この頃の虫たちの食糧源は栄養豊富なシダ植物の「胞子」である。
40mの高さを誇るシダ植物は
胞子嚢を地上よりはるか上に付けるようになる。
体の小さな虫がそこまでシダ植物の幹をよじ登りたどり着くには
至難の業をいえよう。
そこで昆虫たちは翅をもち、飛翔能力をつけて
胞子のあるエサ場まで、ひとっ飛びというわけだ。
また、
その持前の機動力を生かし、広範囲にわたって繁殖相手を見つけ、
子孫を残すことに一躍を担ったにちがいない!
さて、なぜ昆虫は翅をもつことができたのか・・・。
昆虫の翅の起源も決定打はなく、いくつもの説がささやかれている。
その中でも有力な説のひとつが、「エラ起源説」だ!
翅をもつ昆虫(有翅昆虫類)で祖先でもっとも近いとされるのが
「カゲロウ」の仲間である。
カゲロウの幼虫は水中に生息する。体の両側に葉状のエラが並んでおり、
これをバタつかせて、水流をおこしてエラ呼吸するのだ。
成長とともにエラを大きく発達し、それを使って泳ぐようにもなる。
やがて
成虫になって地上に生活の場に移し、そのエラは翅になって空を飛ぶのだ!
カゲロウの幼虫のエラは「気管鰓」とよばれ、中に気管が走っており、
ここでガス交換を行い呼吸をするわけだが、
昆虫の翅にも「翅脈」という筋が走っており、この翅脈が気管であること
がわかっているという。