アフリカのサバンナと言えば・・・。
広がる草原に点在するサバンナアカシアは
アフリカサバンナの象徴ともいえるほど
この樹を映像なり写真なりで目にした人は多いことだろう。
木の葉が生い茂る枝は高い位置にあり、傘を広げたような形が特徴で
別名「アンブレアアカシア」、「アンブレアツリー」なんて呼ばれるが
当然、葉っぱを草食動物に食べられないようにするためだ。
しかし、首が長くもっとも背の高いキリン にとっては
ちょうど良い位置に葉っぱがあって、他の草食動物が手を出せない
ということでも、かなり好都合だ!
しかもキリンはアカシアの葉を好み、
キリンのための食料資源といっていいだろう。
ところが、
サバンナアカシアの木は大事な葉っぱをキリンにただただ、食べられるわけではない!
その時、「メチルジャスモネード」と呼ばれる揮発性物質を放出するという。
この物質は半径500mにまで広がり、
この成分を感じたサバンナアカシアの木々は
体表面に「タンニン」とよばれる苦味成分を分泌するという。
このタンニンが強烈な渋味で、渋柿を食べた人はその味を
思い出していただければいいだろう。
キリンが次に近くのサバンナアカシアの木に移動して、
食べようとする時、
タンニンを多く含んだ木の葉や枝を食べることになる。
すると、
あまりにもの渋味で、キリンはすぐに吐き出してしまうというわけだ。
キリンはその場所のエサ場を諦めて、遠い場所へと移動する。
サバンナアカシアはこのように敵であるキリンがやってきたことを
仲間に伝達することによって、キリンを追い出し、種の生存を保っているのだ。
だが、サバンナアカシアのこの防御システムは
キリンにとっても将来的に良いことなのだ。
このサバンナアカシアのこのような防御システムがなければ、
キリンはその場所のサバンナアカシアを食べ尽くして枯渇させてしまうだろう。
枯渇する前に、キリンが次の場所へ移動して、そこのサバンナアカシアを
食べ、また次の場所へ移動するという繰り返しによって、
キリンの食料資源が枯渇することがないのだから。