鳥類は恐竜から進化した。
それは紛れもない事実である。
しかし、その姿や生態はずいぶんと変わり果てた。
世界を君臨した恐竜たちが6500万年前に絶滅し、
恐竜から派生した鳥類たちがわずかに生き残ったが、
地上での覇権は勢力を伸ばしつつある哺乳類たちに
とってかわられた・・・。
しかし、
恐竜絶滅後、その間もない頃から
鳥類の中で、肉食恐竜の面影を色濃く残す者たちがいた!
「恐鳥類」と呼ばれる肉食鳥だ!
ガストルニス(ディアトリマ) 属名(Diatryma )
恐竜が絶滅して間もない新生代・古第三紀・暁新世(6500万年~5500万年前)
から現れた恐鳥類。
体高2m、体重は200kgにもなり、翼は退化しているが、
後ろ脚は力強く、この後脚で獲物を押さえつけて、
長さ40cmもある手斧のようなクチバシを振り落として
強力なダメージを与えたといわれている。
2本の後ろ足で立っていた
肉食恐竜と姿や生態がよく似ていたことだろう。
北アメリカやヨーロッパで生息しており、
当時のその地で頂点捕食者として君臨していたという。
まさに恐鳥類は肉食恐竜の残党軍であったといっても
過言ではないだろう。
しかし、
この時代は哺乳類の適応放散と繁栄は著しく、
肉食の哺乳類でも
優れた瞬発力で一撃必殺の狩りを得意とするネコ科動物や
高度なチームワークで追尾型の狩りを得意とするイヌ科動物といった
より進化、カスタマイズされた肉食哺乳類が現れるようになった。
恐鳥類は獲物をめぐる競合にその劣勢を強いられたのは
間違いないだろう。
だが・・・、恐鳥類には最後の砦があった。
当時、他の大陸から海に隔てられていた南アメリカ大陸。
ここはネコ科動物やイヌ科動物が足を踏み入れることのなかった
島大陸であったのだ。
ここでは恐鳥類のフォルスラコス
やケレンケン
などの
恐鳥類は栄えており、頂点捕食者として
君臨し続けていたのだ。
しかしその時代も、長くは続かない。
300万年前、パナマ地峡の形成により、
北アメリカ大陸と南アメリカ大陸が陸続きになってしまったのだ。
北アメリカ大陸からパナマ地峡に渡り、
サーベルタイガー
やオオカミなどが南アメリカ大陸に
やってきて、競合をさらされることを余儀なくされ、
ここでもやはり恐鳥類は不利な立場に立たされた。
そして、
約40万年前、最後の恐鳥類であるティタニスが絶滅し、
肉食恐竜の残光はその灯火を潰えることとなった・・・。